知恵の輪を使った新しい次世代の扉錠を発表。
老舗錠前メーカである株式会社コールは、02月26日、同社の新しい次世代の扉錠を公開した。高度な技術は使われていない錠だという。

次世代の扉錠となる知恵の輪鍵
「近年は技術の発達により、人体を使ったバイオメトリックス認証が盛んだが、鍵はやはり、鍵として存在すべきものであると我々は考えている。複雑な技術力や電気という外部の力は必要がない」(鍵開発部 大原信好氏)
指紋認証や静脈認証など、バイオメトリックス認証を鍵として見ることが多くなってきた近年、扉錠も進化を遂げている。例えば、最も新しいシリンダ錠では1,0000兆2,8000億通りという鍵違い数を誇る。また、サムターン回しに配慮したサムターン回し防止装置なども装備している。
「扉錠が複雑になった結果、様々な高度な技術が投入され、そのコストも年々上がっている。しかしだからといって売値を高く設定しにくい市場だ。このように複雑になりすぎた市場において、我々は扉錠を一から考え直す必要があった」(同氏)
今回発表された扉錠には、開けるための鍵が存在しない。強いていえば所有者の記憶が鍵になると同氏は伝える。だからといって数桁のダイアルをあわせるような単純なものではない。
「鍵を持つものが扉を開けるという動作は未来永劫続く、という基本概念が扉錠にはあった。そして同時に、鍵を持てば扉を開けられるということが問題になっていた。もちろん、鍵を持っていないのに開けられてしまうということが最も問題なことだ」と同氏は語る。
「鍵を使わないで扉を開けるために記憶を使う。これが我々結論だ。具体的にいうと、扉側に知恵の輪のような鍵があり、知恵の輪を解くことによって鍵を開けるという仕組みである」(同氏)
同社の検証結果では、鍵の代わりとなる知恵の輪を解読するために平均180分程度必要となり、簡単に開けられることはないという。鍵となる知恵の輪は数百種類が用意されており、設置後の変更も可能だ。
「この鍵であれば、無くすことも落とすこともない。忘れる心配はあるかもしれないが、日々使うことでその可能性もなくなるだろう。鍵穴がないのでピッキングされる恐れもない。電気も必要ないので、停電時にも対応可能という利点ばかりの扉錠だ」と同氏は伝える。知恵の輪が扉の前に見られる光景も遠くはない。
2005年11月11日 公開
2010年08月03日 記事内日付変更(11月11日->02月26日)