ネットワーク対応のトイレットペーパーホルダーを発表。
|NAXは、ネットワークに対応したトイレットペーパーホルダー(紙巻器) SAT|S TH-512Sを01月18日に発表した。内部で動作しているウェブサーバから無線LANを通して、WWWブラウザや携帯電話からトイレの状況を把握することが出来るという。

ネットワーク対応トイレットペーパーホルダー
「トイレという存在に対して、安らぎの場だと考える人が増えている。温水洗浄、便座ヒータは今では当たり前、便フタを自動で開閉するノンタッチ便フタ開閉機能、除菌イオンと部屋暖房、近年ではMP3再生機能付きのトイレを発売した。用を足すだけの場所ではなく、安らぎを得る癒しの空間として、トイレは変わりつつある」(|NAX設備事業部トイレ空間商品部 高之秀士氏)
海外において「トイレを巡って日本は戦争がおきている」と批評されたこともあるほど、日本では高機能なトイレが発売されている。しかし、1日に1度は必ず入らなければならない場所であり、場合によっては長居もすることから、より快適なトイレ空間を求めるべきだと同氏は考えているという。
「より快適なトイレ空間を求めて社内リサーチを実施した結果、重大な概念が現在のトイレ空間には欠けていることが分かった。確かに今までのトイレの持つ機能は、入室後に始めて意味を持つものばかりで、トイレに入る前のことは考えられていない」(同氏)
同社では、社員を対象として”トイレにまつわる嫌なこと”というアンケートを実施した。このリサーチ結果によると、トイレに籠もった臭いを避けたいという希望がもっとも多かったという。脱臭装置が付いているトイレであっても、扉をあけた瞬間に嫌な臭いが残っていれば入る気もなくすだろう。次に、トイレットペーパーがなくなっていることも挙げられた。用を足し終わりほっとした瞬間に感じる人生の喪失感。誰もが一度は経験ある。そして、すでに誰かが入っていること。トイレの前まで来て、引き返さなければならない屈辱は経験があるはずだ。
今回発表されたSAT|S TH-512Sは、IEEE802.11a/b/g対応の無線LANを装備した。TH-512S内部でウェブサーバが起動しているため、専用のソフトウェアを使うことがなく、WWWブラウザ上からトレイの情報を得ることが出来る。外部ネットワークからの接続を可能な設定にすれば、電車や車の中にいても、いつでもどこでも自宅や会社にあるトイレの状況が分かる。
「SAT|S TH-512Sには複数のセンサーがあり、ブラウザ上から情報が参照出来る。トイレに入る前にトイレの状況を知ることによって、今までのトイレ空間の欠点を補うことが出来た。トイレ空間に求めていた全てが今手に入るだろう」(同氏)

携帯電話からアクセスしたトイレ監視システム
SAT|S TH-512Sは、2つの赤外線センサーを持っている。1つはトイレットペーパーの監視だ。紙の残量を確認し、残り少ない場合にはメール機能を使って警告が発せられる。もう1つは、人体センサーだ。人が入っていれば入室中というメッセージが表示される。空き室になれば指定したメールアドレスへ通知するお知らせ機能もある。
「最大の特徴は、臭気測定機能を装備していることだ。トイレの扉を開けることなく、臭いのレベルを相対的に知ることが出来る。レベルは5段階でこの情報ももちろんウェブから参照することが可能だ。高感度熱線型半導体式のセンサーを採用したことから、活性炭フィルタを2ヶ月に1度交換するだけの手間しかかからない」(同氏)
何よりもSAT|S TH-512Sは便器そのものではなく、あくまでもトイレットペーパーホルダーであることがもっとも重要なことだと同氏は語る。
「今までの様々な機能は、全て便器や便座に直接付いている機能であり、使いたいと思っても莫大な工事費が発生していた。その結果として、今までは気軽に変えることができなかった。しかし、SAT|S TH-512Sは基本的にトイレットペーパーホルダーだ。取り付けるだけで終わり、必要なものは無線LANのアクセスポイントとコンセントだけ。たったそれだけで、自宅や会社にあるコンピュータや携帯電話を使用して快適なトイレ空間を満喫出来る」(同氏)
同社ではSAT|S TH-512Sの発売時期や価格を正式に発表してはいない。仕様の変更によって大きく変わる可能性があるため、現時点では発表が出来ないという。「SAT|S TH-512Sの仕様はほぼ決定されてはいるが、もっと発展させて考えていくつもりだ」と同氏は伝えた。
「ネットワークに対応したことは、トイレ空間にとっての1つの革命だと考えている。例えばトイレに座ったままでニュースサイトを閲覧したり、コンピュータに保存されている写真見たり音楽を聴いたり、動画ファイルやDVDを再生することだって出来るだろう。もはやトイレという存在は、用を足す空間ということだけではなく、時間を楽しむ時代になっている」と言い残し、同氏はトイレに席を立った。
2004年11月24日 公開
2005年08月05日 記事修正
2010年08月03日 記事内日付変更(11月24日->01月18日)