蚊を食べて動く豚型ロボットの開発に着手。
日本除虫菊株式会社は、01月06日、蚊を退治する豚型ロボットPIGFLY-001の開発に着手したと発表した。PIGFLY-001は、蚊を食することで動力へと変換する機能を持つという。

蚊を食べて動く豚型ロボット
「PIGFLY-001は、自然環境にある物質を動力源とする自律型ロボットだ。英西イングランド大学の知的自律システム研究所が開発した微生物燃料電池を内蔵している。嫌気性バクテリアは食物を糖分に変換する。変換された糖分をバクテリアに分解させて生化学エネルギーを電気に変換する。これがPIGFLY-001の動きだ」(広報部 香取夏子氏)
蚊は体温や二酸化炭素を感知して近づくことは知られているが、PIGFLY-001の体からは、微生物燃料電池の作用によって熱と二酸化炭素が生み出されている。結果、蚊はPIGFLY-001に引きつけられることとなる。さらに、除虫菊(シロバナムシヨケギク)の花に含まれる殺虫成分ピレトリンを主成分としたピレスロイドが定期的に発せられている。ピレスロイドは蚊の神経を麻痺させ、殺す作用を持っている。
「自ら蚊を引きつけて、食べることによって動力へと変換する。実際の生物にある食に関するプロセスをほぼ完全に再現したロボットだ。排泄に関する機能は今のところ存在しないが、別なバクテリアによって良質の土を生み出すことも可能だろう」(同氏)
PIGFLY-001には、GPSや温度センサー、音波ソナーや衝突センサーも持ち合わせている。これらの機能によって、ペット用として見られるミニブタのような感覚で扱うことが可能だと同氏は語る。「なぜブタなのかと良く聞かれるが、日本に江戸時代から存在する豚の形をした蚊取り線香をご存じだろうか。蚊取り豚とも呼ばれているが、我々は近代社会での蚊取り豚としての意味を強調したかったのだ」と聞いてもないことまでも教えてくれた。

江戸時代からある蚊取り豚
「今はまだ蚊の退治が主となっているが、将来的には蝿や蛾、ダニやゴキブリといった多少大きな害虫にも対応させるつもりだ。世の中の害虫が全て一掃できるようなロボットを目指している。これら害虫を介して感染する病気も大幅に少なくなるだろう」(同氏)
ネズミなどの大きな害虫には微生物燃料電池の性能の低さから、今のところ対応出来ていないというが、改善させることが出来れば、大型の害虫も退治することが可能だという。害虫という言葉自体、人に対して害のある虫という意味だが、生態系でみた地球への害虫ということで、人間が対象にならないことを祈るばかりだ。
2005年04月01日 公開
2010年08月03日 記事内日付変更(03月31日->01月06日)