パターン認識を搭載したデジタル図鑑を発表。
株式会社学修研究社は、01月24日、今までにない新しいデジタル図鑑”自然カメラ”を発表すると伝えた。目の前にある草木や虫などを撮影しパターン解析することで、内蔵されている図鑑データと一致した情報を引き出すことが出来るという。

セイヨウタンポポを撮影した時の自然カメラの表示面。
「近年、テレビゲームの普及などで子供は室内で遊ぶことが多く、都市化によって身の回りに自然が少なくなり、花や草木、昆虫や小動物に接する時間が大幅に減少している。自然に接することが少なくなれば、同時に興味を持つ時間もなくなるだろう」とIT事業部デジタル図鑑室長 立花權兵衞氏は淡々と語り始めた。
興味がなければ知ることの出来ない知識もある。例えば薺(なずな/通称ぺんぺん草)を楽器にする方法を知っている子供がどれだけいるのだろう。八重葎(やえむぐら)の実を服にくっつけて遊んでいる子供はめっきり見なくなった。カナブンの足に紐を括り付けて飛ばして遊ぶ前に、カナブンを知らない子供が増えてきている。カブトムシが死んだ時、電池が切れたと言った子供の話は有名だろう。
「学校の授業によって学問的な知識は得るだろうが、自然から学べることはもっと多く、もっと楽しく、そしてもっとも興味深いはずだ。花や昆虫の名前や特徴、そして遊び方は、自然と親から子へと伝達されていたが、そういう時代はすでに終わってしまった。その代役を果たすために我々は自然カメラの開発を始めた」(同氏)
自然カメラには1/2.7インチのCCDを搭載しており、最短焦点距離は9mmというレンズを持つ。このカメラで撮った映像は自然カメラによって多変量解析によるパターン認識が行われ、自然カメラの持つデータと一致した情報を5インチのTFT低反射LCDに映し出す。
「焦点距離が非常に短い高機能なCCDカメラと最先端の画像解析技術を使うことで初めて実現できた。目の前にある花を自然カメラで撮影するだけで、名前や特徴を全て把握出来る。今までにない画期的な道具になるだろう」(同氏)

自然カメラの使用方法。裏側にあるカメラで撮影する。
第一弾として身近な自然と題した図鑑データを発表する予定だという。内部のメモリ(図鑑データ)を変更する仕様によって、例えばキノコや薬草などの図鑑も対応が可能だ。しかし、我々の最大の目標は「子供に自然に興味をもってくれることだ」と同氏は訴える。
「目の前にある自然という壮大な遊び場は、きっと子供達を待っていると思う。自然カメラで子供に自然を知って欲しい。自然の持つ楽しさ、素晴らしさに触れて欲しい。願いはそれだけだ」(同氏)
IT技術の進歩によって家庭用のゲーム機も同時に劇的な進歩を遂げた。しかしその結果、子供達は外に出なくなり、家の中で閉じこもり遊ぶという生活スタイルが定着している。最先端のIT技術で作られた自然カメラによって、子供は自然に帰ることができるのだろうか。なお、発売価格や発売時期は、まだ公開されていない。
2005年08月20日 公開
2010年08月03日 記事内日付変更(08月20日->01月24日)